1月26日に行った申し入れに対し、日本学生支援機構から回答がありました。以下、掲載いたします。

平成21年2月5日 ブラックリストの会in東京 御中
独立行政法人日本学生支援機構 政策企画部 広報課
1.奨学金返還延滞者の個人信用情報機関への登録、およびその手続きの中止
近年、高等教育機関への進学率の向上、学費の増大等を背景にして、当機構の奨学金事業は拡大の一途をたどっており、平成20年度には、無利子奨学金2,793億円、有利子奨学金6,512億円、合計貸与人員は122万人であり、平成10年度に比べると、無利子奨学金で1.4倍、有利子奨学金では約10倍、合計では3.5倍に及んでいる。この事業規模の拡大に伴い、返還金の要回収額も増加しており、平成16年度においては2,297億円であるのに対して、平成19年度には3,175億円に達しております。このような奨学金事業の拡大の中で、要返還者数も258万人の規模となっており、これと同時に延滞額も増えてきております。このため、当機構では、昨年6月に「奨学金の返還促進に関する有識者会議」が取りまとめた「日本学生支援機構奨学金返還促進策について」において、返還開始後一定の時期における延滞者について、当該延滞者の情報を個人信用情報機関に提供することにより、延滞者への各種ローン等の過剰貸付を抑制し、多重債務化への移行を防止することは、教育的な観点から極めて有意義であるとの提言を受け、延滞者に限って、その情報を個人信用情報機関へ提供することといたしました。
また、当機構の延滞者への調査結果においても、延滞理由として、借入金の返済を理由とする者が25.3%に及んでいることからも、多重債務化防止は喫緊の課題と考え、活用することといたしました。
なお、個人信用情報機関への情報提供の内容については、個人情報保護の観点や利用者が学生であることを勘案し、下記の教育的配慮をしております。
①個人信用情報機関側に登録されている情報は、奨学生として採用する際の与信情報は活用しない。
奨学生は経済的に困窮した者を優先採用することから、仮に社会人学生であって他の債務を持っている者であっても、採用に当たり与信情報は活用しないこととしている。  ②個人信用情報機関への登録は延滞者に限定していること。
個人信用情報機関では、原則として貸与段階から情報登録することを原則としているが、学生であることなどを勘案し、登録する情報は延滞者に限定することとした。
③新規返還者については、6ヶ月の返還猶予期間を設けていること。
特に、新規返還者においては、当機構においても返還説明会等で第1回目の返還から返還意識をもち、残高不足で振替不能とならないよう指導するとともに、返還のビデオや返還の手引き(貸与終了者全員に配布)でも周知徹底、返還が困難な事情が発生したときは放置することなく手続き(本機構の奨学金事業については、教育的配慮から、奨学金の貸与を受けた者が、病気・災害等により奨学金の返還が困難になった場合には、毎年の申請により、その事由が継続する間、返還を一時猶予する制度を設けている。また、倒産・失業等の理由により返還が困難となった場合には、毎年の申請により、原則として、最長5年間返還を一時猶予する制度も設けている。)をするよう指導しているが、社会に出たばかりの返還者にとっては、全てが新たな責務の履行であって、返還者によっては、銀行残高が十分であると勘違いした等の不注意によるものや、返還猶予措置など機構の奨学金制度について十分理解していなかったこと等が原因で延滞となるケースがあることから、返還開始後6カ月経過時点で延滞3カ月以上となっている場合に登録するなど、一定の教育的配慮を行う。
以上の観点から、奨学金返還延滞者の個人信用情報機関への登録、およびその手続きを中止することは考えておりません。
2.授業料および生活費相当の奨学金の無条件給付
現在の財政事情の下で、「給付制」奨学金制度の創設は難しいと考えております。