7月14日はデモ

7月14日に、学費無償化、給付制奨学金創設をもとめて、
文科省前デモがあります。ぜひご参集を!!


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教育の機会均等を!デモ 〜学費・奨学金は問題だらけ〜


日程 7月14日(日)
時間 15時集合、15時半出発
デモの時間は1時間程度を予定しています。

集合場所 桜田公園
新橋駅烏森口から徒歩1分
解散も同じ公園です。


詳細は、以下のサイトをご覧ください。

国学奨学金問題対策委員会
http://gakuhimondai.blog.fc2.com/

反復興メーデー


原子力都市と海賊」というブログに、今年のメーデーにむけての連帯メッセージがのっていました。転載自由とのことなので、転載します。


つきなみですが、復興はいらない、借金もいらない、カネだけほしい、ということで。


ちなみに、このメッセージを書いた矢部史郎さんは、これから手術のため入院するそうです。放射能のせいです。菊一輪、ギロチンの上に微笑みし、黒き香りを遥かに偲ぶ。無事の回復をお祈りもうしあげます。


なむあみだぶつ。


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みんなの力で「復興」政策を止めよう


 2011年の3月から、私たちは放射能汚染との闘いに突入しました。これは被曝被害をできるかぎり避けるための、たいへん骨の折れる作業です。私たちは、土壌汚染の実態を調べ、食品を吟味し、衣食住すべてに気を配ることを強いられています。
 これに加えてさらに、日本政府の原子力政策が、私たちを追い詰めています。政府は被曝を避けるための有効な情報を提供せず、むしろ情報を制限しています。環境省放射能による土壌汚染に関心をむけず、厚生労働省は公衆の保健衛生に無関心になっています。文部科学省は、放射能問題を理解していないニセ科学者たちに、この重要問題を丸なげしている状態です。そして、こうした政策全体が私たち一般市民に要求しているのは、放射能などまるで存在しないかのようにふるまうことなのです。「復興」の名のもとに、かつてなら考えられなかったような非科学的で暴力的な政策が進められています。この政策に従うならば、私たちは福島を忘れ、放射能を忘れ、自分や家族や隣人の健康を気にしない人間にならなくてはなりません。いま私たちは、最低限のぎりぎりの人権すら奪われようとしているのです。
 現在の「復興」政策は人間のための復興ではなく、ただ原子力政策の延命のための「復興」です。このことを何度でも繰り返し言わなくてはなりません。
 放射能に汚染された地域では、除染作業が行われています。この作業は誰のために行われ、この作業によって誰が血を流しているのでしょうか。原子力政策を延命させるために、つまり、電力会社、銀行、株主の財産を延命させるために、実効性のない除染計画がたてられ、臨時雇いの労働者が被曝させられるのです。これが「復興」政策です。
 現在の「復興」政策とは、銀行のために、「日本経済」のために、さらには「世界経済」の安定のために、人間を被曝させる政策です。ところで、銀行や「日本経済」や「世界経済」は、これまで私たちに何をしてくれたというのでしょうか? 彼らは利益を独占してきただけではなかったでしょうか。いま彼らの手助けをして、私たちになんの利益があるのでしょうか? 電力会社が倒れたら恐慌になる? いいじゃないですか。私たち貧乏人の生活は、もうずっと以前から恐慌状態であり続けてきたのですから。


 みんなの力で「復興」政策を止めよう。


 腐敗した原子力経済を打ち倒そう。

海賊ユートピア


この間、ふたたび学生支援機構前に抗議にいったりしているのですが、それはゆとり全共闘のブログをみていただくことにして、きょうはちょっと宣伝です。


とうとう、待望の『海賊ユートピアの翻訳がでました!!


翻訳したのは、なんと大学生の菰田真介さん。とてもいい訳です。
かれの書いた解説もかっこいい。
まちがいなく、ブラックリストな学生さんですね。

きっと大学とはなにかを考えるうえでも、触発されるところがおおいはず。
お薦めです。ぜひ手にとってみてください!



(ピーター・ランボーン・ウィルソン著、以文社、2013年)


第一章「海賊とマーメイド」

第二章「トルコ人になったキリスト教徒」

第三章「暗殺による民主主義」

第四章「チンピラ連中」

第五章「チュニスの雪花石膏宮殿」

第六章「サレーのムーア人海賊」

第七章「ムラド船長とボルティモア略奪」

第八章「海賊カレンダー」

第九章「海賊ユートピア

第十章「「厄介なトルコ人」と呼ばれた、オールド・ニューヨークのムーア人海賊」

訳者解題「ラバト・サレー海賊の反社会的可能性」

白石嘉治さん講演会 (4/11)


明日、白石嘉治さんの講演会があります!!
会場に来られないかたは、ユーストリーム中継もやっていますので、以下のURLをご覧ください。

http://ustre.am/WupH


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イベント詳細
日時 4月11日(木) 18時半開場、19時スタート(20時過ぎくらいまで)
場所 東池袋 りべるたん
最寄り 有楽町線東池袋駅4番出口
※カンパ制 500円(飲み物食べ物つき)

当日講師
大学講師 白石嘉治さん(著書『不純なる教養』 講演会『学費は無料であるべきだ』など)

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それからもう一つ。

先日、ゆとり全共闘のみなさんと、日本学生支援機構にちょっとした要請文をもっておしかけました。その回答がまいりましたので、こちら側からの反論もふくめて、講演会の資料がてら載せておきますね。

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① 要請書


独立行政法人 日本学生支援機構
理事長 遠藤勝裕様

学生をより支援するための奨学金改善要望書
3.22奨学金抗議実行委員会

 始めにこれまで独立行政法人日本学生支援機構(以下、支援機構)様の尽力により、非常に多くの学生が学ぶ機会を得てきたことに強く敬意を示します。
 ご存知のことと思われますが、世界160カ国が加盟している中で日本を含むわずか2カ国のみが留保してきた国際人権規約のA規約(社会権規約)第13条の留保が昨年撤回されました。国際人権規約のA規約(社会権規約)第13条には高等教育の無償化が記されており、日本は1979年以降、国際的な圧力が強まる中でも長きに渡って留保という立場を貫いてきました。
 留保を撤回したといえど、長年積み上げられた教育に対する国家的姿勢のもとに日本の教育の常識は世界的常識とはいまだかけ離れたところにあります。そして、この事は支援機構様の行っている奨学金貸与事業にも当てはまります。世界的に見たときに奨学金とは給付のものを指し、支援機構様の行っている奨学金事業は学生ローンに分類されるものです。奨学金という美名を用いて若者に借金を負わせるという現状は今すぐにでも改善されなければならないという強い危機感を持っています。
 留保を撤回した今、名実ともに世界基準の教育へと歩みを進めるときがきており、その中で支援機構様がどのような姿勢でいるのかということはこれまで以上に重要なこととなります。教育がすべてものの権利となるように、支援機構様には今後世界基準の学生支援の方向へと共に舵を切ることを望むとともに、以下の3項目を要望いたします。

【要望項目】
1 世界基準である給付型の奨学金の設置へと歩みを進めること
2 現在の奨学金貸与事業は世界的には奨学金とは呼ばず、内実は学生ローンであることを明記すること
3 返済の滞った者の個人情報をブラックリスト化しないこと

以上の要望に対し、4月12日までに文章による回答を求めます。

3.22奨学金抗議実行委員会

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② 日本学生支援機構からの回答書


平成 25 年 4 月 5 日
●●●●殿
独立行政法人日本学生支援機構

先般本機構に提示された要望書につきお応えします。本機構は法令等により定められた 諸制度に基づき学生の支援を行うために設置されている文部科学省所管の独立行政法人で す。実務を担う私共としては日々学生の皆様方と実務を通じ接しており、またホームペー ジやコーノレセンタ ー などへの様々な声も承知しているところです。本機構ではそうしたこ とに対し、可能な限りお応えをしてきておりますので、そうした観点から要望事項につい てその考え方を下記に記します。

要望項目 1について
給付型奨学金制度につきましては、機構に寄せられる多くの声からもその必要性を認識しています。このため文部科学省では平成 24 年度予算の概算要求の際に給付型奨学金制度 の新設を盛り込みましたが、厳しい国家財政状況の折、残念ながら実現しませんでした。 一方で、経済的に厳 しい状況にある奨学生の将来の生活を守る趣旨から一定の所得が得ら れるまで返還を猶予する「所得連動返還型無利子奨 学金制度J が導入され、現在、約 3 万 人がその適用を受けております。
また、現行制度においても大学院生の無利子奨学金の業績優秀者に対する返還免除の制 度が設けられております。
なお、大学においては授業料免除や減免等の実質的な給付支援も行っています。

要望項目 2 について
現在の第一種奨学金、第 二種奨学金は共に貸与制ですが、民間金融機関で行っているよ うな、貸与希望者の返還能力を判断して貸し出しを行う、いわゆる「ローン」とはその内 容が異なります。まず第 一種奨学金は無利子です 。第二種奨学金についても在学中は無利 子であり、返還に入ってからのみ 利息が発生し、その金利も法令により 3%が上限と定めら
れ、現在は利率国定型で1.08%、利率見直し型で 0.20% と低い水準にあります。これは教育施策として第 一種奨学金、第二種奨学金ともに国費が投入されているためです。
さらに卒業後の経済的状況などを考慮し、返還の猶予の措置などセーフテイネットが設け られています。これらの点もいわゆる「ローン」とは異なるものです 。

要望項目 3 について
個人信用情報機関への登録は平成 22年度から導入しているもので、返還を促すと共に奨 学生が多重債務者になることを防止するものです。奨学金の返還中、登録の対象者は延滞 3 か月以上の延滞者ですが 、これについては奨学金の申込時に「確認書兼個人信用情報の 取扱いに関する同意書 J を提出していただいております 。本機構としてはこうした事態に至らないよう 3 か月以上の延滞に入る前に再三の注意喚起をするなど慎重に事務を行って います。それでもなお 3 か月以上延滞した場合に同意に基づき登録しています 。
本機構が、貸与した奨学金の返還につき色々とお願いをしていますのは、返還金が未来 ある次代の奨学生への貸与原資になっているためです 。こうしたことを理解していただけ ればと思います 。
一方で、様々なご事情により、奨学金の返還が困難な方もおられます 。こうした方々に対 しては、引き続き前述のセーフテイネットの活用等を通じてきめ細かく対応していきたい と考えています。
なお、持参された「 資料日本の奨学金 J にありますように、諸外国の奨学金制度に私共 が学ぶべき点が多いことも承知していますが、各国の進学率、人員さらには学校の種類な ど社会的枠組がそれぞれに異なっております 。因みにわが国の奨学金制度では、専修学校(受給者 18.0 万人)、工業高等専門 学校(同 0.7 万人)、短大(同 5.7 万人)、大学(同 96.0万人)、大学院(同 8.7 万人)計 129 万人(平成 23 年度)もの学生が奨学金をベースに勉 学に励んでいるのが現実です 。この現実を踏まえ、制度改善に向け引き続き多方面に働き かけていくことを重ねて申し上げます。

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③ 回答書にたいする反論


【ちゃんと】日本学生支援機構からの回答を解説!!【支援しろ】


皆様、こんにちは。
私たちが提出した要望書に対する日本学生支援機構(支援機構)からの回答が届きました。

回答書の文面を見ていただければわかると思いますが、その回答はホームページに書かれている内容を繰りかえしただけのものです。私たちの、誠心誠意、懇切丁寧に、時に怒りを前面にした「ちゃんと学生を支援しろ」という抗議に対する回答は内実ただのコピペです。

これだけでも激おこぷんぷん丸ですが、ここでは支援機構が述べている「支援」の不備を指摘してするために回答を一つずつ検討していきます。日本は現在爆弾低気圧が猛威を奮っていますが、ご一読いただけますと幸いです。

一、給付型の奨学金を創設すること
 支援機構側はここで要は給付型の奨学金は財政難で導入できないということを言っています。これだけでも相当にひどい話です(繰り返しになりますが「奨学金」とは国際的には給付のものを言います)。しかしそれだけでなく、所得連動型の奨学金を導入したではないかと何故か「立派に支援してるだろ」オーラを出してきています。

所得連動型の奨学金について説明を入れておくと、この制度は卒業後年収三〇〇万円以下であれば、無期限で返済が猶予されるというものです。これだけ読むと確かに立派な「支援」のように見えます。

しかしちょっと待ってほしい!!

この制度が適用されるのは二〇一二年度以降の入学者で、かつ第一種奨学金(無利子)を借りた者だけです。要は支援機構の長い歴史のごく一部のさらに条件を満たした極々一部のみに適用される制度です。


私たちは、あくまで給付型の奨学金の導入を求めています。
しかし、もし今後、学生支援機構が所得連動型の奨学金に力をいれていくというのであれば、ましてやそれが「経済的に厳しい状況にある奨学生の生活を守る」ためのものだというのであれば、当然、いま現在経済的に厳しい状況にある奨学生にたいしても、所得連動型の返還制度が適応されてしかるべきだと考えております。現行制度では、返還猶予は五年間だけ認められておりますが、この五年間という期限を撤廃し、低所得者にたいする無期限の返還猶予を認めることを切に求めます。


二、現行の奨学金がローンでしかないと認めること
 支援機構は、現在の第一種、第二種奨学金は、返還猶予などの「セーフティネット」があるから、ローンとは呼べないと述べております。

結論を先に述べると「セーフティネット」があろうがなかろうが、支援機構の奨学金はローンと大差ないものです。

第一点目でも述べたように、現行制度では返済猶予は五年間に限られており、五年を過ぎると容赦のない取立てにさらされ、現在年間三〇〇〇件以上の返還訴訟が裁判所に申し立てられています。

一体これのどこが「セーフティネット」なのか。

そもそも、「セーフティネット」への年度ごとの申告によって、奨学生が受ける精神的負担について、学生と「実務を通じて接し」「様々な声も承知している」日本学生支援機構はどう考えているのか。

本当にこれがローンではないのか、学生支援と言えるのか、コピペ回答ではなくきちんと考えていただきたい。


三、奨学金返済滞納者のブラックリスト化をやめること
 これもまたひどい話ですが学生支援機構は奨学金返済延滞者のブラックリスト化をやめるつもりはないとのことです。

その理由として、奨学金を借りる前に同意にサインしているというのが、そもそもこれに同意しなければ、奨学金を借りることはできません。
経済的な理由で進学が困難な若者の前に支援を称して現れて「この書類に同意すれば進学する分だけのお金を貸すよ」と迫る。そして「支援機構のお蔭で大学に行ける」「次代の奨学生への貸与原資のために返済しないとブラックリスト化する」と抑圧する。

一体これのどこが学生支援であり、教育なのか! 本当に下劣な行いだと思います。


さらにこれは二点目とも関係しますが、ブラックリスト化が前提になっている以上、いわゆる「ローン」となんら変わるところはありません。さらにいえば、ローンである自覚がないままに、学生に奨学金という名の借金を貸付け、その将来を返済という軛で拘束するものである以上、ある意味では、より悪質な借金といえます。現行の制度のままであれば、やはりローンの文字を明示するべきであると言えます。


私たちは、あらためて日本学生支援機構が先の三つの要望を即時実行することを求めたいと思います。

グローバル教育ストライキ


以下のサイトでグローバル教育ストライキがよびかけられています。

http://ism-global.net/GES_jp

11月14日から21日までは、グローバル教育ストライキということで。
各人各様に。

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グローバル教育ストライキ

2012年10月18日、11月14日〜21日


わたしたちはグローバル教育ストライキを呼びかける。教育ストが世界規模で調整されるのは今回が初めてだ。連帯しよう。どこに住んでいようと、国家中心的で営利本位な利害関心との、またその教育への影響力とのたたかいに直面しているのだから。学費の値上げ、予算削減、外注化、学舎封鎖、等々の現象は、ますます広がる教育の商業化と私営化に結びついている。そうしたことを克服し、自由で解放的な教育を可能とするには、グローバルに連帯する以外にない。

わたしたちはみな教育費削減に反対だ。わたしたちのほとんどが学生ローンにあえいでいる。成績への強まる圧力には、ただ気が病むだけだし、教育へのさまざまな制限や、とりわけ増え続ける学費には我慢できない! 経済状況や社会的地位に関係なく、だれもが教育を受けられるのでなければならない。あらゆるものに──測りえないものにさえ──価値をつけるのは、もうたくさんだ! 競争力というたったひとつの基準ですべてを指図されることには、もううんざりだ! こんなことを共にどうにかするべき時が来ている。いまこそ団結を!

進む教育の商品化と商業化に、わたしたちはみな影響されている。その徴候もはっきりと出ている。大学や学校における非民主的な運営や、ヒエラルキー構造の強化のように。教育や医療、他のあらゆる公共財の私有化を進める世界中の政府が、教育市場や諸教育機関のあいだの競争を促進している。
2012年6月だけで、すでにわたしたちは、自由で解放的な教育の獲得にかかわる45の抗議行動を40以上の都市でおこなった。諸国の政府は、現在の経済恐慌をしばしば口実にして、教育機関への慢性的な予算削減を進めてきた。それらが掲げる「解決策」はこういうものだ。ランクづけによる競争の促進、成績の低い学校の閉鎖、教員や職員や研究環境の拡充をともなわない入学者の増加、できるかぎりの外注化、エリート養成機関の促進。こうしたすべての「解決策」が教育のさらなる商品化や私営化への道であり、教える側にも学ぶ側にもより悪い影響をもたらしている。

教育市場と国家は、自己解放的な思考能力の発展よりも利益を優先させることを要求している。どちらが求めているのも、「市民」や「国民」への、消費者や低賃金労働への服従であって、自己決定のもとで生きる解放された個人ではない。

わたしたちは、資本主義の機械の歯車へと作りかえられている。あらゆる面で仲間たちと競争するために社会に送り出されている。創造性や能力、自由な精神を、教育機関によって打ち砕かれている。

資本主義下の教育システムは、基本的には商品的知識および労働市場で搾取される人的資本の工場として成り立っている。この連関を指摘し、この生産様式を止めるために、グローバル教育ストライキによって、世界規模で教育機関を沈黙させることを、ここに呼びかける。

抵抗しよう! グローバル教育ストライキに加わろう!
あらゆる正義は知ることからはじまる。今年の10月と11月には、ともに立ち上がろう。教育を取り戻そうという声を世界に響かせるために。

シンポジウムのお知らせ

今週末、早稲田大学で以下のようなシンポジウムがあるようです。
お時間のあるかたはぜひということで。

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早稲田大学政治経済学部創設130周年記念シンポジウム

いま、大学で何を学ぶか、何を教えるか −21世紀のリベラルアーツを考える−

開催日時:2012年11月10日(土)10時00分‐17時30分
開催場所:早稲田大学小野記念講堂(早稲田キャンパス27号館地下2階)
http://www.waseda.jp/jp/campus/waseda.html

主催:早稲田大学政治経済学術院 共催:早稻田大學政治經濟學會

登録不要、参加費無料

趣旨
「いま、大学で何を学ぶか、何を教えるか」という問いは、学ぶ者と教える者はどのようにして出会うのかという問いを招きます。するとそれは「いま」を離れて、ソクラテスによるソフィスト批判や、12世紀末のボローニャに集った学生たちの要求や、近代のベルリン大学の教師たちの「学問の自由」をめぐる思索とも関わることになるでしょう。古代ローマに成立したリベラルアーツは、一方で人間を隷属から解放するための方法、他方で自由な人間のたしなみという、二つの意味をはらみながら現代にまで続いています。

大学設置基準の大綱化(1991)や国公立大学の法人化(2004)によって、日本の大学は大きく変化しました。また昨年3月の東日本大震災とその後の福島原発事故は、エリートや専門家への信頼ばかりでなく、彼らを養成した大学への信頼をも揺るがせています。文部科学省は大学間競争を促しながら、グローバルな高等教育市場でも生き残れるような大学を創り出そうとしていますが、いま多くの大学は深いアイデンティティーの危機のなかにいるのです。

私たちは学部創立130周年という機会に、リベラルアーツという古くからの伝統をどのように担うのかという問いを立てました。この問いに正解があるとは思いません。しかしそこで迷うことなしに、未来の大学を語ることはできないでしょう。科学、学問、技術の絶えまない進化のなかで、大学はつねに迷いのなかにいましたし、それはこれからも変わらないはずだからです。そしてこの大学の迷いは、就職を前にした学生の戸惑いや、ディシプリンを超えて語るときの教員の不安とも、じつは深いところでつながっています。歴史を踏まえつつ、また国や地域ごとの多様性にも目を配りつつ、21世紀のリベラルアーツについてみなさんとともに考えたいと思います。

プログラム

午前の部(10時00分‐12時15分) 司会 ソジエ内田恵美(早稲田大学政治経済学部教授)


学部長挨拶

趣旨説明 長與進(早稲田大学政治経済学部教授)

問題提起を含めた基調講演(25分×4)

1. 知識基盤社会における大学とリベラルアーツ 長谷川眞理子総合研究大学院大学先導科学研究科教授)

2. 大学教育の質的転換をめざして 池田貴城(文部科学省高等教育局大学振興課長)

3. グローバル人材の育成を急げ 井上洋(日本経済団体連合会社会広報本部長)
4. 棟梁の材の教養教育はいかにあるべきか 平川祐弘東京大学名誉教授)



午後の部(1時30分‐5時30分)司会 室井禎之(早稲田大学政治経済学部教授)


午前への応答を含めた提言(20分×5)

1. 「条件なき大学」のリベラルアーツ 岡山茂(早稲田大学政治経済学部教授)
2. 近代的学知と大学の理念の境界に立って考えるリベラルアーツ 佐藤正志(早稲田大学政治経済学部教授)
3. プラトンアカデメイア」の理念から考える 納富信留慶応義塾大学文学部教授)

4. リベラルアーツ教育の遍歴:アメリカの場合 マーク・ジュエル(早稲田大学政治経済学部教授)
5. 4年間の公開セミナーから見えてきたこと 原武史明治学院大学国際学部教授)


討論(3時30分‐5時20分)

閉会の挨拶 田中愛治(早稲田大学教務部門総括理事)

早稲田に野田さんが来るよ!


こんどの日曜日(7/22)、早稲田大学野田首相の講演会があるようです。教員のかたから、講演会への要望書をいただきましたので、ご紹介させていただきます。


あるお坊さんがいっていたのですが、どんな悪人でも死んだら救われるらしい。だから、あえていっておきたい。わたしたちは、文字どおりの意味で、野田さんの早期往生を祈っています。なむあみだぶつ、なむあみだぶつ。

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野田総理講演に関する要望書

 早稲田大学総長 鎌田薫殿

野田首相が7月22日に早稲田大学で講演します。これは大学からの依頼によるものと聞きました。しかも、残念ながら一般教職員の参加はできなくなっております。会場となるのは、かつて1998年に中国の江沢民主席が講演したときに学生が声を上げて逮捕され、その後に、聴衆としてそこにいたすべての学生の個人情報が警察に渡されていたことが明らかとなった、大隈講堂です。2004年の最高裁判決においては、このときの大学の行為は違憲であるとされました。また2008年に胡錦濤主席が講演したときには、そのチベット政策に抗議する人たちを講堂に近づけないために、きわめて厳しい警備体制が敷かれました。結果として野田首相も、そのときと同じように、希望した者のなかから「抽選」によって選ばれ、学籍番号や名前が警察に渡されることを承諾した学生のみを相手に、「すべてを語る」ことになるのです。


首相官邸まえでは、毎週金曜日の夕に、原発の再稼働に反対する数万人規模の抗議行動が繰り返されています。首相は「大きな音だね」と言いこそすれ、真摯にその声に耳を傾けようとするわけでもありません。その首相がわざわざ日曜日に母校にきて、まだ社会経験のない若い学生をまえにいったい何を語るのでしょうか。私たちは首をかしげざるを得ないのです。「何も決まらない」と揶揄される日本で、未来にかかわる重大問題の数々を独断専行にも見える形で「決める」ことの重要性でしょうか。抗議活動に加わり原発の再稼動反対を訴える無数の一般市民と、講堂に集まる1500人ほどの学生のあいだには、いったいどのような関係があるのでしょうか。もとより早稲田大学の一卒業生としての野田佳彦氏は、自らが首相をしているこの日本で、かつて中国の元首たちが行なったのと同じような形で講演することになる「民主」党党首としての自分を、どのように思っておられるのでしょうか。


私たちは、早稲田大学がこの時期に、このような講演を主催することの意味を問わざるをえません。講演の内容はもちろんのこと、それが実施されること自体、今や社会全体における早稲田大学のイメージを左右することになると思います。大学に熟慮を求めたいところですが、講演は計画通り実施されるとのことですので、少なくとも以下の3点へのご配慮をお願いしたいと思います。


 聴講学生の情報を警察に提供することはそもそもあってはならないことです。仮に提出する場合でも、大学は学生の個人情報の保護を図り、学生の不利益になる事態を回避してください。
 講演当日においては、学生が首相の講演内容について自由に質疑応答できるよう、十分な時間と公正なしくみ(例えば事前に質問者を定める等はしないこと)を保証してください。
 講演および質疑応答のすべては、開催後速やかに、編集されることなく公開するようにしてください。


最後に、私たちの根本的な懸念を記させていただきます。大学は、その構成員である学生および教職員に対して、それぞれの公人としての責任を問うばかりでなく、私人としての「信」(学業を通じて培われる信念)を保証する責務を負うものと私たちは考えます(大学が政教分離の要にあって、政治と宗教を分けるとともに公私をつなぐ役割を果たしうるのは、そのためだと思います)。それゆえ、たとえ一国の首相である卒業生を講演に迎える場合でも、大学は政治的に中立であらねばなりません。この点で早稲田大学がバランスを欠き、大学としての良識を問われたりすることがないようお願い申し上げます。


2012年7月19日
早稲田大学教職員有志


岡山茂(政治経済学術院)、後藤雄介 丸川誠司(以上、教育・総合科学学術院)
ほか賛同者27名